会社を辞めて、何者でもなくなった。頼って来る人も、気にかけてくれる人もいない
そんな40代の男が、静かに、だが本気で選んだ生き方–それがデイトレードだった
「1円」に泣き、「1円」に救われる毎日
これは、元労働組合委員長の男が、自分の人生をかけて向き合う現実と心の記録である
元労働組合委員長の現実
何者でもなくなった日
会社を辞めた瞬間から、すべてが変わった
それまで周囲から「頼られる人間」と見られていたと思っていた
社員、組合員、取引先
多くの人と分かり合えていたつもりだった
でも、それは勘違いだった。辞めたとたん、誰からも連絡は来なくなった
「あんなに助けてきたのに?」
「あんなに皆が嫌がることをしてきたのに?」
「一緒に笑って飲んだ日々は何だったのか?」
気づいたのは、自分が信頼されていたのではなく、自分が持っていた”役割“や”情報“や”力“が信頼されていたという事実
今、自分には何もない
デイトレという、孤独な戦場
自分に残されたのは、自由と、毎日訪れる「今日」という日だけだった。そこで選んだのが、デイトレード
パソコンと向き合い、チャートをにらみ、たった1円の値動きで一喜一憂する
200株でトレードすれば、1円で200円の利益や損失。甘く見ていた
でも、積み重ねれば日給に、月給になる
そして、失えば心がやられる
勝ちたい。焦ると負ける。シナリオ通りに動いても、板の動きが裏切る
やっと勝ったと思ったら、次のトレードで全部吹っ飛ぶ
「生きるために」ではない、「生きるために」やっている
周囲から見れば、デイトレなんてギャンブルの延長に見えるかもしれない
確かに一瞬の判断が命取りになるし、心がブレると負ける
自分にとっては「生きる手段」だ
この生き方を選んだことで、日々の小さな判断に命を込めている
1円を甘く見ない。どんな小さな利益も、自分の血と時間の対価だ
失ったものの大きさ、これからの覚悟
会社を辞めて5年が経とうとしている
仲間はゼロ
親との会話も満たされない
兄との関係も悪い。過去に築いたものが、今は重くのしかかっている
でも、前を向くしかない
もう誰も励ましてくれない
だから、自分が自分を励ますしかない
「今日もトレードができた」
「負けても、自分で決めたルールを守れた」
その積み重ねが、また自分を立て直してくれる
締めに
会社に守られる人生を捨てて、孤独な戦場を選んだ
誰かのためじゃない。見栄えでもない
自分の心に正直に、生き方を選んだ結果が今だ
1円の重みと、心の揺れと向き合いながら、今日もパソコンの前に座る
生きるために
もう一度、自分を取り戻すために
最後まで読んでいただきありがとうございました